2019年02月19日

次に道ですれ違ったら笑顔でいよう。温かい眼差しを送ろう。わが子には偏見なく育ってもらおう。

 道ですれ違いざまに大きな声をあげられてビクッとした後、疲れと諦めが滲む親御さんの姿に一瞬哀れみがよぎり、またすぐ自分の日常に戻る。自閉症や知的障害、そういう症状や障害を持つ人を差別しないと頭でわかっていても、それ以上知ることもなく知ろうともせず今まで来てしまいました。

 息子のクラスメイトにそういう子がいて「そういう子には特に優しくしなきゃいけないよ」と言い聞かせるのだけど、「そういう」ってどういう?自分はちゃんと知らない。実はなにもわかってない。そんなときに、この試写会の案内をいただきました。

 映画に登場するのは20代の男性3人、それぞれ自閉症や重い知的障害を抱えながら、親のいる家を出て、ヘルパーさんの手を借りながらアパートにひとり暮らしする日常が描かれます。
 散歩し、買い物し、スケボーし、イライラし、灰皿を蹴ってしまい、人を触ってしまい、なだめられ、謝り、ヘルパーさんと二人三脚でがんばって家まで帰りつく。
 大声を出しモノを叩く裏で本人たちの心にさまざまな葛藤があることを、恥ずかしながら初めて知りました。

 映画自体はほのぼのしたトーンで、笑いがこぼれるシーンもたくさん。宍戸監督の優しい視線を通して、自然の移ろいのなかで、本人たちとずっと付き合っているヘルパーさんたちの温かさ、本人たちとの絆、家族が前向きになっていく姿を感じました。

 でも家に帰ってから読んだパンフレットには、親御さんによるこれまでの壮絶な手記が刻まれていました。入所施設での虐待、投薬のスパイラル、病院の無理解、周囲との軋轢…本人と親御さんの苦しみを誰が救ってやれるのか。これまでも、外に出せず家に長い間監禁された末に亡くなったケースが何度かニュースで流れ、そして津久井やまゆり園の忌まわしい事件。それはもしかしたら、ギョッとして、憐れんで、他人事として終わらせようとするような空気の集大成なのかもしれない。

 次に道ですれ違ったら笑顔でいよう。
 温かい眼差しを送ろう。
 わが子には偏見なく育ってもらおう。
 題字を書いたリョースケくんがうちの子どもと年端の変わらない子どもたちと一緒に遊ぶシーンに、やっぱり希望を感じずにはいられません。

 そして、家族の負担が減るように、本人たちが社会のなかで自立して生きていける機会がもっと増えるように、この映画がたくさんの人の目に留まりますように。