2018年10月18日

こんな時間を、すべての人が持つことができたら、わたしたちは自分にも、自分の目の前の人にも、もっともっと優しくなれるだろう。

 人はこの世に生を受けてから、様々な人との出会いや環境、その中での経験を通して、自分を形作っていく。はじめは親、家族。さらには親戚、近所の人、友達、と広がっていく。様々な関係性があることが、人を豊かにし、生きていく上でのセーフティーネットにもつながる。
 「道草」に出てくるリョースケさんや、ヒロムさん、ユウイチローさんと、自立生活支援をするグッドライフのスタッフは、友達であり家族のような存在だ。物理的には、介助する人-される人に見えても、そこには様々な思いや願い、エネルギーが行き交い、互いが生きる支えになっている。人と人とが関係するとき、そこには双方向の交感が必ずあるのだ。その様子を、宍戸監督は丁寧に描いていく。
 たったひと りの世界では、自分は見えない。自分を映し出す世界、他者の存在があって、初めて自分を知ることができる。道草をしながらふたりで歩く散歩は、この世界とつながり、相手の瞳に自分を映し出す時間。こんな時間を、すべての人が持つことができたら、わたしたちは自分にも、自分の目の前の人にも、もっともっと優しくなれるだろう。